2018年11月01日
【猫目堂】マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ【本日のオススメ本】
ああ、やはりまたお会いできましたね。
…いらっしゃいませ。
おや、お客様も星を拾いに
行ってらしたのですか?
いらっしゃいませ~
随分と寒そうですね。サァ、奥へどうぞ。
まずは、これを食べて体の芯まで
温まって下さい。
風邪を引いてしまいますから。
【コトコト煮込んだポトフ】
おやつというより、お夜食ですね。
あったまって人心地ついたら…
本日はこちらの一冊をどうぞ。
古内一絵・著 / 中央公論新社
*web拍手とは?
匿名で管理人に
応援の意思を送れるボタンです。
メッセージも送れますので、
お気軽にお使い下さい。
【Instagram】
【Ranking】
-----------------------------------------------
こんばんは。良い夜ですね。
いえ、私はこれから帰るところです。
星を拾いに行ったら
つい夢中になってしまいまして。
体の芯から冷えてしまったので
猫目堂で柊君に熱い紅茶を淹れてもらって
お礼に拾った星を分けてきたのです。
あなたも今晩は行かれましたか?
北区の蛍鉱石採石場に
今年いちばんの流星群が降って…
今年いちばんの流星群が降って…
あれ、ご存知ない?
星降ラヂオで予報が流れましたよ。
拾った星をどうするかって?
星は砕いて水に入れると
チカチカと瞬いて、
溶けると薄荷の香りのする
しゅわしゅわとした
ソーダ水になるんですよ。
溶けると薄荷の香りのする
しゅわしゅわとした
ソーダ水になるんですよ。
たまに金木犀の香りがする星もあるので
それは紅茶に入れるのがお勧めですね。
暗いところで保管しないと
消えてしまうので…ちょいと待って下さいね。
空いたジャムの壜に入れて…鞄の奥に…
ええと…ホラ、これです。
消えてしまうので…ちょいと待って下さいね。
空いたジャムの壜に入れて…鞄の奥に…
ええと…ホラ、これです。
いちばんの流星群だけあって
だいぶん星見客も多くて。
屋台なんかもチラホラ出ていましたよ。
おや、星、気になりますか?
だいぶん星見客も多くて。
屋台なんかもチラホラ出ていましたよ。
おや、星、気になりますか?
ううん、柊君にだいぶん
あげてしまったからなぁ。
あげてしまったからなぁ。
ああ、そうだ、あなたも
これから拾いに行ってみてはどうです?
まだ月が灯台の屋根の下にあるから
間に合うのではないかな…
空が明るくなると
星が空に戻り始めるんで
行くんなら急いだ方が宜しいでしょう。
星が空に戻り始めるんで
行くんなら急いだ方が宜しいでしょう。
私のように体が冷えてしまったら
帰りに猫目堂に寄るといいですよ。
店長と「この本にはこれでしょう」
なんて言いながら
なんて言いながら
柊君が何か煮込んでいましたから。
…いらっしゃいませ。
おや、お客様も星を拾いに
行ってらしたのですか?
いらっしゃいませ~
随分と寒そうですね。サァ、奥へどうぞ。
まずは、これを食べて体の芯まで
温まって下さい。
風邪を引いてしまいますから。
【コトコト煮込んだポトフ】
おやつというより、お夜食ですね。
あったまって人心地ついたら…
本日はこちらの一冊をどうぞ。
古内一絵・著 / 中央公論新社
ISBN : 9784120047886
このシリーズは僕も大好きです。
読むと「おいしいものは心も体も
助けてくれるんだなぁ!」と思うんです。
連作短編集で、夜の間だけ
夜食を出してくれるカフェ
「マカン・マラン」にたどり着いた
登場人物は皆、何か抱え込み悩んでいます。
「マカン・マラン」の店主の
シャールさんがすごくステキなんですよ!
ショッキングピンクのボブウィッグと
鳥の羽のようなつけまつげしていて
身長180センチを超える女装した男性…
店長、なんていいましたっけ
「ドラァグ・クイーン」ですよ、柊君。
店主は大変迫力があるのですが
色々な経験をして生きてきたシャールさんが
食べる人の体を思って作る料理と
言葉には深みと重みがあるのです。
「号泣必至!」とかじゃないんです。
じんわり…
そうですね…
気づくとじんわりと涙が出ていて
読み終わると滋味滋養に溢れた料理で
このシリーズは僕も大好きです。
読むと「おいしいものは心も体も
助けてくれるんだなぁ!」と思うんです。
連作短編集で、夜の間だけ
夜食を出してくれるカフェ
「マカン・マラン」にたどり着いた
登場人物は皆、何か抱え込み悩んでいます。
「マカン・マラン」の店主の
シャールさんがすごくステキなんですよ!
ショッキングピンクのボブウィッグと
鳥の羽のようなつけまつげしていて
身長180センチを超える女装した男性…
店長、なんていいましたっけ
「ドラァグ・クイーン」ですよ、柊君。
店主は大変迫力があるのですが
色々な経験をして生きてきたシャールさんが
食べる人の体を思って作る料理と
言葉には深みと重みがあるのです。
「号泣必至!」とかじゃないんです。
じんわり…
そうですね…
気づくとじんわりと涙が出ていて
読み終わると滋味滋養に溢れた料理で
お腹の底から温まったように
ほっこりするのです。
見つけられる人には見つけられる、
何かしら心に傷を持つ人々に
ほっこりするのです。
見つけられる人には見つけられる、
何かしら心に傷を持つ人々に
そっと寄り添い優しく労わってくれる
止まり木のような店。
それが「マカン・マラン」なのです。
僕、毎晩、寝る前に
大事に一話ずつ読みました。シリーズも他に二冊出ていてどれも好きです。
装丁がまたステキなので
並べて置きたくなるんですよ~
ISBN:9784120049101
ISBN:9784120050220
残念ながら十一月に出る新刊で
「マカン・マラン」シリーズは
最終巻だそうです。
終わってしまうのは寂しいですが
何度読み返しても良い本なので
最後であっても発売が楽しみですね。
ISBN:9784120051401
(2018年11月17日発売予定)
食べるものは人の体や心を作る
「食は人の天なり」という考え方だと
時代小説の「みをつくし料理帖」シリーズも
僕は大好きなのでオススメです!
高田郁・著 / 角川春樹文庫
ISBN:9784758434034
じっくりと料理する事で再生する、
丁寧に生きる、というテーマだと
「太陽のパスタ、豆のスープ」も
僕は好きですね。
宮下奈都・著 / 集英社文庫
ISBN:9784087450262
では、ポトフで温まりながら
読書をお楽しみください。
ごゆっくり…
------------------------------
【web拍手コメントへのお返事】
(全てにお返事できなくて恐縮です…
全部読んでいますし
本当に励みになっています。
ありがとうございます!)
>(コメントしていなくても)
>…見てますからね…( ̄ー ̄)
何故にミステリー調!
ありがとうございます~(笑)
オンちゃんハルちゃん元気に10歳です!
なんだかあまり変わらないので
忘れがちですがもうシニアの仲間入りなので
気を付けてあげないとですね…!
>鈴代さんはBL系はどうですか?
私も面白いと聞けばほぼ全ジャンル読むのですが
BLは全く読まないんですよ~
名作と呼ばれる本も多いとは思うのですが…
ライトノベルのようにレーベルが多すぎて
何がなんやら、というのもありますし
元々恋愛小説はそんなに読まないので…
>持っていく本が決まらないと
>他の準備ができませんよね
そうなんですよ~
まずは本!本がないと何も
始まらないのです…(何をしに行くのか)
>乗り物酔いするのに
>持って行ってしまう、それが本
私は電車では大丈夫なんですが
車やバスはダメですね…
「持って行ったものの結局読まなかった」
わかります…!(笑)
私も割とそうなんですが、ないと不安で…
もし電車が急に止まった時
本がなかったら困るかもしれない…とか。
今日も今日とて本を持ってでかけています。
>修学旅行に本を
>持って行ってはいけない
なんと!そんな規則が…!?
「読書をせず思い出を作りなさい」
という先生の思いなのでしょうか…
でも持って行ったんですね…娘さん強い(笑)
>ギターの弦もおもちゃになります
ほおー!それは興味深い…
楽器屋さんでちょっとチェックしてみます!
------------------------------
【web拍手】それが「マカン・マラン」なのです。
僕、毎晩、寝る前に
大事に一話ずつ読みました。シリーズも他に二冊出ていてどれも好きです。
装丁がまたステキなので
並べて置きたくなるんですよ~
ISBN:9784120049101
ISBN:9784120050220
残念ながら十一月に出る新刊で
「マカン・マラン」シリーズは
最終巻だそうです。
終わってしまうのは寂しいですが
何度読み返しても良い本なので
最後であっても発売が楽しみですね。
ISBN:9784120051401
(2018年11月17日発売予定)
食べるものは人の体や心を作る
「食は人の天なり」という考え方だと
時代小説の「みをつくし料理帖」シリーズも
僕は大好きなのでオススメです!
高田郁・著 / 角川春樹文庫
ISBN:9784758434034
じっくりと料理する事で再生する、
丁寧に生きる、というテーマだと
「太陽のパスタ、豆のスープ」も
僕は好きですね。
宮下奈都・著 / 集英社文庫
ISBN:9784087450262
では、ポトフで温まりながら
読書をお楽しみください。
ごゆっくり…
------------------------------
【web拍手コメントへのお返事】
(全てにお返事できなくて恐縮です…
全部読んでいますし
本当に励みになっています。
ありがとうございます!)
>(コメントしていなくても)
>…見てますからね…( ̄ー ̄)
何故にミステリー調!
ありがとうございます~(笑)
オンちゃんハルちゃん元気に10歳です!
なんだかあまり変わらないので
忘れがちですがもうシニアの仲間入りなので
気を付けてあげないとですね…!
>鈴代さんはBL系はどうですか?
私も面白いと聞けばほぼ全ジャンル読むのですが
BLは全く読まないんですよ~
名作と呼ばれる本も多いとは思うのですが…
ライトノベルのようにレーベルが多すぎて
何がなんやら、というのもありますし
元々恋愛小説はそんなに読まないので…
>持っていく本が決まらないと
>他の準備ができませんよね
そうなんですよ~
まずは本!本がないと何も
始まらないのです…(何をしに行くのか)
>乗り物酔いするのに
>持って行ってしまう、それが本
私は電車では大丈夫なんですが
車やバスはダメですね…
「持って行ったものの結局読まなかった」
わかります…!(笑)
私も割とそうなんですが、ないと不安で…
もし電車が急に止まった時
本がなかったら困るかもしれない…とか。
今日も今日とて本を持ってでかけています。
>修学旅行に本を
>持って行ってはいけない
なんと!そんな規則が…!?
「読書をせず思い出を作りなさい」
という先生の思いなのでしょうか…
でも持って行ったんですね…娘さん強い(笑)
>ギターの弦もおもちゃになります
ほおー!それは興味深い…
楽器屋さんでちょっとチェックしてみます!
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- Posted by lynn_halon at 21:25
- | 本/ 【猫目堂】
-
2018年09月26日
【猫目堂】隣のずこずこ【本日のオススメ本】
行ける人には、すぐ行ける
行けない人は、ずっと行けない
そんな街、宵待町。
どうしました、キョロキョロして。
「猫目堂」をお探しですか?
それなら、けんびきょう座2-1番地…
ああ、この町は初めてですか?
なら、駅を出たら宵待ち通りをまっすぐ行って
二番目の路地をちょっと右に見て下さい。
そうそう、曲がってすぐの煉瓦の建物です。
こじんまりした入口なんで見逃しそうですが
本屋「猫目堂」はそこにあります。
営業日も営業時間も店長の気まぐれ
なんで気を付けて下さいね。
入口に看板が下がっていたら
その日は店が開いています。
お店には本好きだけど、仕事はまだまだ見習い中
でも趣味のお料理の腕は、なかなかの店員さんと
本を読み始めると
窓の外が暗くなっても気づかないし
ごはんを食べるのも忘れちゃう店長がいます。
そうだ、良いことを教えておきましょう。
合言葉です。
「本日のオススメは?」
そうすると、あなたは店の奥のカフェに
案内されるでしょう。
少し待てば店長がオススメの本を
いそいそと持ってきますし
店員さんが読みながら食べるのに
うってつけのおやつを用意してくれますよ。
いえいえ、私は用事があるのでここで失礼。
ここへはよく来るので
またお会いすることもあるでしょう。
「猫目堂」へようこそ。
よい読書を。
選考委員である恩田陸、森見登美彦、
萩尾望都先生らが絶賛していたので
読んでみたのですが
読み終わった後
「なるほど、これは面白い」と思いました。
そんなにですか?
2017年4年ぶりに再開された
日本ファンタジーノベル大賞の受賞作なのですが
そうか「現代の」ファンタジーとは
こういうものなのかもしれない、と
思いました。
へぇぇ~ぼくも読んでみようかな…
どんなお話なんですか?
人口300人程度の小さな集落「矢喜原」には
「権三郎狸の話」という昔話が
語り継がれています。
巨大な権三郎狸が現れると、村は火で焼かれ
村人は一人残らず呑み込まれる、
というものです。
ある日、その権三郎狸が「狸憑き」の女性
あかりさんと共に村に現れます。
ひえええ
村が権三郎狸に呑み込まれるまであと三週間。
住んでいなくとも、狸が村に来た時点で
村にいた人間はどこに逃げても
権三郎狸に呑み込まれます。
それはひどい…
ひどいですね。別の町に住んでいて
たまたま村を訪れていても呑まれます。
しかし、主人公のはじめを含む
村人たちは急に告げられた最後に対して
諦め、悟り、受け入れます。
「そんなバカな」と思いつつ
「三週間後に起こる悲劇」を
前提に過ごし始めます。
知らぬ間に権三郎狸のシステムに
組み込まれて育ってしまったのです。
村人たちは各々、
いつも通りに農作業をする人もいれば
毎日バーベキューをし始めたり
もう終わりなんだから、と
自棄になって犯罪に走る人も現れます。
村の人たちは村の外へ逃げ出さないんですか?
勿論、海外へ逃亡しようとする人もいます。
でもどこかで「逃げられない」と理解して
諦めてしまっているのです。
飄々としていてユーモラス。
その中に混じる狂気。
1m半の信楽焼の狸の置物そっくりの化け物が
ずこずこと歩くさまを想像してご覧なさい。
奇妙に可笑しいです。
それでいて絶対的な抗えない物事を
目の当たりにした人間の反応
絶対に終わる将来が描かれているので
どこか哀しく、そして怖いのです。
それにしても変わったタイトルですねぇ
表紙イラストといい「となりのトトロ」を
連想させようとしているのかなぁと
僕は思うのですが…
「あの世界観を期待すると痛い目にあうぞ」
という皮肉なユーモアを感じます。
ただ、投稿時は「権三郎狸の話」という題名
だったようなのでなるほど、
確かにこの題名の方が目を引くなぁと
思いますね
僕も読んでみます!
そうですね、君は森見登美彦さんの本が
好きなので、好みに合うかもしれません。
少しテイストが似ています。
一冊にこんなに色んなジャンルの要素を
詰め込んだ作品を書く新人さんが現れて
今後の作品が楽しみで、ワクワクしますね。
【栗饅頭と玉露】
作中に出てくる高崎ストアの栗饅頭
ほどにおいしいかはわかりませんが…
読んでいたら無性に食べたくなって
宵待ち通りの白鳳庵さんに行って買ってきました。
中には栗が丸ごと一個入っています。
----------------------------------------------------------
というわけで、こんな感じで
オススメ本を紹介していこうと思っています。
ただお勧めするのではなく
どうやったら興味を持ってもらえるかなぁ…と
考えた形でこうなったのと
私自身が店員さんが面白い本を
オススメしてくれて
話に合うおやつまで用意してくれる
本屋カフェがあったらなぁ…と
いつも思っているので…
猫目堂、店長店員共々
お付き合い頂けたら嬉しく思います。
【web拍手コメントへのお返事】
(全てにお返事できなくて恐縮です…
全部読んでいますし
本当に励みになっています。
ありがとうございます!)
>ホラーとミステリーの
ドキドキは違うの…?
ち、ちち…違いますよ!
ホラーは本当に身近にあったら嫌だな…と…
…あれ…?ミステリーの殺人事件も
身近にあったら嫌ですね…
あれ…?
>スーパーでも置きっぱありますよね
ありますあります…
買い物していてお菓子の所に
お弁当を戻さず置いていく人の
気持ちがわからないです…
>本好きなの!?
本は好きでも買ってないのは
自分のものではないから
大事ではないということなんですかね…
個人的に自己啓発系のライトエッセイ
「彼が振り返る女性になる!」的な売り場が
割とあれていることが多くて複雑な気持ちになります…
>ホラーは全く読まないのですか?
基本は避けて通りますね…
ただ、面白いと話題になってたり
小野不由美さんが好きなので
それはつい読んでしまいます…
(そして後悔します…)
【web拍手】
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行けない人は、ずっと行けない
そんな街、宵待町。
どうしました、キョロキョロして。
「猫目堂」をお探しですか?
それなら、けんびきょう座2-1番地…
ああ、この町は初めてですか?
なら、駅を出たら宵待ち通りをまっすぐ行って
二番目の路地をちょっと右に見て下さい。
そうそう、曲がってすぐの煉瓦の建物です。
こじんまりした入口なんで見逃しそうですが
本屋「猫目堂」はそこにあります。
営業日も営業時間も店長の気まぐれ
なんで気を付けて下さいね。
入口に看板が下がっていたら
その日は店が開いています。
お店には本好きだけど、仕事はまだまだ見習い中
でも趣味のお料理の腕は、なかなかの店員さんと
本を読み始めると
窓の外が暗くなっても気づかないし
ごはんを食べるのも忘れちゃう店長がいます。
そうだ、良いことを教えておきましょう。
合言葉です。
「本日のオススメは?」
そうすると、あなたは店の奥のカフェに
案内されるでしょう。
少し待てば店長がオススメの本を
いそいそと持ってきますし
店員さんが読みながら食べるのに
うってつけのおやつを用意してくれますよ。
いえいえ、私は用事があるのでここで失礼。
ここへはよく来るので
またお会いすることもあるでしょう。
「猫目堂」へようこそ。
よい読書を。
「隣のずこずこ 」 柿村将彦・著 / 新潮社
ISBN:9784103516613
選考委員である恩田陸、森見登美彦、
萩尾望都先生らが絶賛していたので
読んでみたのですが
読み終わった後
「なるほど、これは面白い」と思いました。
そんなにですか?
2017年4年ぶりに再開された
日本ファンタジーノベル大賞の受賞作なのですが
そうか「現代の」ファンタジーとは
こういうものなのかもしれない、と
思いました。
へぇぇ~ぼくも読んでみようかな…
どんなお話なんですか?
人口300人程度の小さな集落「矢喜原」には
「権三郎狸の話」という昔話が
語り継がれています。
巨大な権三郎狸が現れると、村は火で焼かれ
村人は一人残らず呑み込まれる、
というものです。
ある日、その権三郎狸が「狸憑き」の女性
あかりさんと共に村に現れます。
ひえええ
村が権三郎狸に呑み込まれるまであと三週間。
住んでいなくとも、狸が村に来た時点で
村にいた人間はどこに逃げても
権三郎狸に呑み込まれます。
それはひどい…
ひどいですね。別の町に住んでいて
たまたま村を訪れていても呑まれます。
しかし、主人公のはじめを含む
村人たちは急に告げられた最後に対して
諦め、悟り、受け入れます。
「そんなバカな」と思いつつ
「三週間後に起こる悲劇」を
前提に過ごし始めます。
知らぬ間に権三郎狸のシステムに
組み込まれて育ってしまったのです。
村人たちは各々、
いつも通りに農作業をする人もいれば
毎日バーベキューをし始めたり
もう終わりなんだから、と
自棄になって犯罪に走る人も現れます。
村の人たちは村の外へ逃げ出さないんですか?
勿論、海外へ逃亡しようとする人もいます。
でもどこかで「逃げられない」と理解して
諦めてしまっているのです。
飄々としていてユーモラス。
その中に混じる狂気。
1m半の信楽焼の狸の置物そっくりの化け物が
ずこずこと歩くさまを想像してご覧なさい。
奇妙に可笑しいです。
それでいて絶対的な抗えない物事を
目の当たりにした人間の反応
絶対に終わる将来が描かれているので
どこか哀しく、そして怖いのです。
それにしても変わったタイトルですねぇ
表紙イラストといい「となりのトトロ」を
連想させようとしているのかなぁと
僕は思うのですが…
「あの世界観を期待すると痛い目にあうぞ」
という皮肉なユーモアを感じます。
ただ、投稿時は「権三郎狸の話」という題名
だったようなのでなるほど、
確かにこの題名の方が目を引くなぁと
思いますね
僕も読んでみます!
そうですね、君は森見登美彦さんの本が
好きなので、好みに合うかもしれません。
少しテイストが似ています。
一冊にこんなに色んなジャンルの要素を
詰め込んだ作品を書く新人さんが現れて
今後の作品が楽しみで、ワクワクしますね。
【栗饅頭と玉露】
作中に出てくる高崎ストアの栗饅頭
ほどにおいしいかはわかりませんが…
読んでいたら無性に食べたくなって
宵待ち通りの白鳳庵さんに行って買ってきました。
中には栗が丸ごと一個入っています。
----------------------------------------------------------
というわけで、こんな感じで
オススメ本を紹介していこうと思っています。
ただお勧めするのではなく
どうやったら興味を持ってもらえるかなぁ…と
考えた形でこうなったのと
私自身が店員さんが面白い本を
オススメしてくれて
話に合うおやつまで用意してくれる
本屋カフェがあったらなぁ…と
いつも思っているので…
猫目堂、店長店員共々
お付き合い頂けたら嬉しく思います。
【web拍手コメントへのお返事】
(全てにお返事できなくて恐縮です…
全部読んでいますし
本当に励みになっています。
ありがとうございます!)
>ホラーとミステリーの
ドキドキは違うの…?
ち、ちち…違いますよ!
ホラーは本当に身近にあったら嫌だな…と…
…あれ…?ミステリーの殺人事件も
身近にあったら嫌ですね…
あれ…?
>スーパーでも置きっぱありますよね
ありますあります…
買い物していてお菓子の所に
お弁当を戻さず置いていく人の
気持ちがわからないです…
>本好きなの!?
本は好きでも買ってないのは
自分のものではないから
大事ではないということなんですかね…
個人的に自己啓発系のライトエッセイ
「彼が振り返る女性になる!」的な売り場が
割とあれていることが多くて複雑な気持ちになります…
>ホラーは全く読まないのですか?
基本は避けて通りますね…
ただ、面白いと話題になってたり
小野不由美さんが好きなので
それはつい読んでしまいます…
(そして後悔します…)
【web拍手】
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