2016年04月15日

きみだけに届くオススメのラーメンは選びづらいんだ。


「人に本をオススメするのは
 オススメのラーメンを紹介するのに似ているのではないか」

と、最近思うようになりました。


書店員をしていると「オススメの本はありますか」 
というお問い合わせがよくあります。 

書店員といっても皆が皆、文芸書を読んでいるわけではありません。
(それぞれ小説は読まなくても児童書好きであったりコミック好きであったりしますし)
私は割と節操なく多ジャンル読んでいる方ですし
文芸文庫担当をして長いので、この問い合わせ、文芸書の時は
他店員に当たっても私に回ってくることが多いのですが


…これが難しい。


胸を張って「読んでいる!」というほどたくさん読んでいるわけでなし…


ただ、オススメの本、というのは結局、好みなんですよね…

「みんなが大抵好きそうな普通に面白い本」
「私は好きだけど好みが分かれそうな本」など…
こういう時、ラーメンのオススメをするのに似ているな…と思うのです。

友達に勧める時などは、
ある程度、相手の好みも知ってますし、気軽に
「あすこのラーメン屋おいしかったよ、
 あなたも好きだと思う。食べに行ってみたら?」
などと言えるのですが、相手がどういう系統のラーメンが
好きかわからないと勧めるのにも迷いが生じます。
私などは魚介系の煮干し出汁のラーメンが
苦手なのですが、それが好きでたまらない人もいるわけで。

私は書店員としては幸いというべきか
比較的一般受けする人気作家、人気作が好きなので
大体、私が好きな作家さんは、普段軽く本を読んでいるような方になら
割と問題なく勧めやすいのですが

難しいのは
「普段全く読まない子」 に 「本をプレゼント」

……こ、…これは更に難しい。

基本は普段、その方が読んでいる本を聞いて
好みが合いそうな本を選ぶのですが 
普段、本を読まないお子さんが私の選んだこの一冊で

「本ってつまんね」

と、思ってしまったらと思うと…責任重大というか…!
そのお子さんのこの先の「本人生」を狂わせてしまうというのか、
この貧弱な知識で…!と懊悩するのであります。

先日、こういった状況で、ご夫婦が息子さんへの本を探しておられたのです。
普段読んでいるコミックやゲームから好きそうかな…という本を
推測して、数点オススメし、その中から購入して下さいました。 
それでも不安で「この本で大丈夫でしたかね…?」と
つい聞いてしまったのですが

お母様が
「店員さんの説明聞いてるうちに
私が読みたくなったから、息子が読まなくても私が読むから大丈夫」と
笑って下さって、とても安心しました。 
なんて優しいんだ。天使か。

でもまぁ、ぶっちゃけ、私の勧めたラーメンがお口に合わなくても
今後の人生で、偶然、「油そば」みたいな
「これラーメンか?」みたいなのに出会い
「でもウマイ!」となる可能性もあるわけで。
そこからまた更に「あのラーメンはそんなじゃなかったけど
魚介系ラーメンは大好き」になる可能性だってあるわけです。

なのでそこまで使命感というか、思い詰めて選んではいないのですが
でも、ピンポイントでその方に合ったラーメン…
じゃなかった、本をオススメできたらそれは嬉しいですよねぇ。
自分で本を読むのが好きなのもありますが
書店では、そういった時に自分の好みを活かして
オススメできたらなぁ、と思っています。

逆にこういうブログなどでも比較的万人受けしやすい
本をオススメするのですが、これは布教というか普及と言うか
面白いので読んでみて~くらいの気持ちで選んでいます。
まぁ、要は「どの本があなたにとっておいしいラーメンかわからないから
とりあえずおいしかったラーメンオススメしてみるよ!
なので色んなラーメン食べてみて!」と言うのがこのブログでの
本のオススメのスタンスです。

…自分が好きだから万人がラーメンが好きな前提で書いています。
悪しからず。