2023年01月27日

こんわく


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完全に奇行を見るものの目でしたね…


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2023年01月15日

2022年の3冊をえらんでみよう(コミック編)


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2022年に読んだコミックは859冊でした。再読した本、シリーズものの続巻もカウントしているので厳密に新しい作品に出会った数はもっと少ないかと思います。去年が725冊で、だいぶ増えたのは職場に私と好みの傾向が似ていて、かつ私よりもコミックに詳しい方がいてコミックの貸し借りができたのが大きかったですね…ありがとうありがとう…!

その結果「爆発的には売れてないけど、これ面白いのでもっと売れたらいいのに」「これ面白いので是非読んで欲しい」というコミックを選んだら20冊を超えてしまいました…oh…悩み抜いて選んだ3冊の他は次点として軽くジャンル分けしてオススメしていますので興味のある方はお時間のある時にでも是非…!兎にも角にも2022年も面白コミックがいっぱいでした!

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「グッドナイト・フィールド」 庄野晶
(短編集。2022年7月発売)

帯の「人間とそうでないものの、普通ではない普通の暮らし。生きるということ、誰かを愛するということ。」が、すごくわかりやすくて的確。吸血鬼や雪女など人ならざるものが登場する短編集。まず絵が魅力的ですね…色気があるというか…どの短編も余韻があってとても良いです。個人的には「モズの巣」が好きですかね…全部好きですが…


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「クジマ歌えば家ほろろ」 紺野アキラ
(連載中。2023年1月現在2巻まで発売)

ブログでも紹介してしまうくらい(詳しくはコチラ)大好きな作品。ロシアから渡ってきた?鳥?謎の生き物「クジマ」と出会った新。家に連れ帰り一緒に暮らすことになるが…書いていて思いましたが、このちょっとした大人より大きいロシア語と日本語を話す謎生物を連れ帰る新も、戸惑いながらも受け入れる家族もすごいな!?(今更)

シュールさ空気感とテンポが独特というかとぼけていて本当に大好き…大人気「女の園の星」の和山やま先生の推薦帯が付いてますが、確かに絵の雰囲気やとぼけ具合が似ているので和山先生好きな人にもオススメです。


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「天狗の台所」 田中相
(連載中。2023年1月現在、1巻まで発売)

自分が天狗の末裔で14歳からの1年は隠遁生活を送ると知らされたNY育ちの少年オン。東京都内とは思えない自然豊かな森でスローライフを送る年の離れた兄、基の元で暮らすことになるのですが…

「千年万年りんごの子」の印象が強かったので表紙で同じ作家さんだとわからなかった…ゆったりとした丁寧な暮らしに困惑する現代っ子のオンも可愛いですし、何より淡々としていて、とぼけているけど食いしん坊な天狗のお兄ちゃんが私の好みのど真ん中なんですよ…むぎくんもとても可愛い…是非カバーを取って表紙裏も読んでください…お兄ちゃん…かわいい…心の疲れる事の多い昨今、ほんわりと癒されます…


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~次点~

【しっかりめのファンタジー】下に行くほどほんわか風味(多分)


「戦奏教室」(連載中。2023年1月現在2巻まで発売)
音が見えるラッパ吹きの少年リュカ。剣、弓、騎兵などで戦うこの世界には魔法はなく、異能の持ち主は「枝憑き」と呼ばれます。枝憑きのリュカは能力者として、かつ軍師として能力を開花させていきます。軍記ファンタジーですが各キャラの個性がいいし、謎多き教皇がなんか長細い。気になる。先の展開がめっちゃ楽しみなので売れて続いて欲しい…




「菌と鉄」(連載中。2023年1月現在3巻まで発売)
キノコに支配された世界で抗う人間たちの物語。菌が脳に寄生し支配する事で管理社会を築いているという設定がまずすごい。上の戦奏教室と同じくやや絵に癖があるというか「進撃の巨人」系の絵なのでとっつきにくいですが面白いです。1巻でクライマックス!完!なのか!?というくらいテンポが速く「これどこに進むの!?」というドキドキ感があります。割と常に絶望ななのにどこかコミカルというか飄々としているので、笑う所なのか泣くところなのかよくわからなくなる感情ジェットコースター系。




「星旅少年」(連載中。2023年1月現在2巻まで発売)
ゆっくりと滅びゆく人類を記録しながら旅をする少年の物語。ファンタジーというかちょこっとSF寄り?連作短編に近いですが物語はしっかり繋がっています。優しい絵柄、静かな物語ですが物悲しさとちょっとの不穏さを漂っていてステキです。





「ソアラと魔物の家」(連載中。2023年1月現在2巻まで発売)
戦士として厳しく育てられたソアラ。しかし人間と魔物の争いが休戦となり目的も行く当てもなくなった彼女が出会ったのは「魔界建築士」のドワーフ3人組だった。魔物の生態に合わせた、魔物のための快適な家づくり、デザインは面白くてじっくり見入ってしまいます。空想の間取りとか好きな人は是非。





「魔もりびと」(連載中。2023年1月現在3巻まで発売)
国ひとつを呑み込むほどの竜が現れた世界。時が経ち、冒険者たちは財産や名誉を求めて竜の体内を冒険するようになる。仲間に見捨てられ瀕死の状態のところを「魔もりびと」であるルモンにを拾われたアリアリスだったが…「ダンジョン飯」感が強いな~と思ってましたが、巻が進むごとに魔物の子守りだけでなく魔物の面倒をみたり魔物の生態マンガになってきて面白くなってきました。ちょっと癖のある絵柄(鳥山明っぽい昔風)なので好みが分かれそう。




「すだちの魔王城」(連載中。2023年1月現在3巻まで発売)
葬送のフリーレン」と同じく、というとあれですが最近多い「後日譚(アフター)ファンタジー」。魔王と勇者の戦いのその後の世界系です。フリーレンがどこか物悲しいのに対し、こちらは割とほのぼのというかダークファンタジーなはずなのにどこかお気楽、コミカルで楽しい。とにかく絵がうまいし可愛いです。

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【現代寄りファンタジー】下に行くほどほんわか風味(おそらく)



「アフターゴッド」(連載中。2023年1月現在3巻まで発売)
もう表紙でわかってもらえると思いますが…かっ…こいいですよね…!不可侵で絶対の存在である「神」がいる場所が「危険区域」として閉鎖されている東京。友達に会う為に上京してきた和花は警戒に当たっていた研究員・時永と出会うが…「チェンソーマン」ほど内臓が吹っ飛んだりしていませんが…いや、でもまぁまぁ吹っ飛んでるのでちょっとグロい?かも?苦手な方はご注意ください。




「日本三國」(連載中。2023年1月現在3巻まで発売)

文明崩壊後の近未来。中国の三国時代のように三つに分かれ、再び戦国時代と化した日本を再統一すべく一人の青年が立ち上がった。軍師が好きなものですから推しは賀来軍師です。もちろん、今後、奇才軍師として頭角を現すらしい主人公、三角の今後も楽しみですね…絵柄が独特なので好みが分かれそうですが…その絵が迫力がありかっこいいです。国や歴史などめっちゃ作り込んだ設定がすごい…





「ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット」(連載中。2023年1月現在3巻まで発売)
世界は猫に支配された。人間を猫に変えてしまうウィルスによるパンデミックが発生し、人類は次々猫に襲われ猫になってゆく…衝撃のキャットホラー!

…説明文を書きながら「何言ってんだ」という気もしてきましたが、アメコミ風の絵と展開で描かれる小ネタ満載の振り切ったマンガです。絵柄から殺伐としたイメージを持たれるかもしれませんが、何ていうか割とほのぼの。いや、サバイバルしている人間は必死…必死?なんですが、襲われている人間たちが猫好きなので…「猫触りたい!でも触ると猫になっちゃう!」ってなっててつい笑ってしまう…本当に世の中にはいろんなマンガがあるなぁ…





「グリーンフィンガーズの箱庭」(連載中。2023年1月現在2巻まで発売)
バイト先の閉店に伴い、新しいバイト先を紹介された大学生の旭。それは大学の裏山の屋敷に住む「少し変わった」植物学者のお手伝いで…ほんわかした絵柄に対して割とストーリーは重めというか、2巻からは民俗学寄り?の展開で驚きました。ふんわりファンタジーかと思いきやふんわりホラーみたいな…好みです。





「異刻メモワール」(連載中。2023年1月現在2巻まで発売)
現実世界で生きる意味を見出せないトモ。下校途中に出会った天真爛漫なリツに連れていかれたのは不思議な異世界で…淡々としつつもどこか物悲しい「異界」の描写が、美しいだけでなく少し怖いので独特な雰囲気を出しています。「異界」で「日常」を送ることがトモにとっての癒しとなるんだろうなぁ…装丁が箔押しだったり遊び紙があったりで豪華で何度も触ってしまう…




「株式会社マジルミエ」(連載中。2023年1月現在5巻まで発売)
魔法少女ものは数多くありますが、これは「魔法少女」が職業として定着している世界の話です。街中に出没する怪異を退治するのがお仕事。一点突破型の奇才が揃う少数精鋭零細ベンチャー魔法少女会社に就職したカナの奮闘っぷりも楽しいですが、とにかく出てくるキャラがみんな好き…変わってるけど優しくて情に篤いマジルミエの面々が好きです…




「今日もご無事で」(2023年1月現在1巻発売中)
1巻のみ…ですかね?残念…仕事で疲れ切った福子の前に現れたのは小人のあとり。温かみのある絵柄とおいしそうな食べ物…食いしん坊としてはふっかふかのホットケーキのお布団とか浪漫ですよね…ほのぼのしているようで、口に出さないだけで人それぞれ色々事情があるよねぇ…と頷いてしまう深さもちょっとあったりして。小さき人(?)のマンガと言えば断トツで「ハクメイとミコチ」が大好きなのですが、小人と人間のふれあいが好きな方は妖精さんと洋服を作る「妖精のおきゃくさま」もオススメです。


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【バトルマンガ系】


ガチアクタ」(連載中。2023年1月現在4巻まで発売)
犯罪者の子孫が集められたスラム街で、ゴミを拾い差別を受けながら暮らすルド。濡れ衣を着せられ誰もが恐れる「奈落」に落とされるが…最初はありがちなバトルマンガかな~と思ったんですが2巻からそれぞれのキャラも立って俄然面白くなってきます。タトゥーなどのデザインに専門のデザイナーさんがついているのかな?すごくかっこいいです。





「極楽街」(連載中。2023年1月現在1巻まで発売)
華やかな賑わいと闇が同居する秩序なき下町、極楽街。この街で「問題解決屋」を営むタオとアルマ。読んで思わず「画力!」と叫ぶほど画力がすごい…画集かな?絵柄、キャラデザが大変に好みです。ストーリーは王道なので今後の展開に期待。


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【現代】


「DYS CASCADE」
(連載中。2023年1月現在2巻まで発売)
警察署に置かれたバケツに入っていたのは1本の腕と12リットルの血液。12人分の致死量。硬派なミステリ小説のような、渋いおじさんベテラン刑事と美人女性上司のバディものでガッツリ、サイコサスペンスです。猟奇的な連続殺人事件の割に登場人物が飄々としているので不思議な読み口。警部補の家族が良い人すぎて変なフラグが立っていて怖い…このまま警部補の幸せであってほしい…色々気になる伏線がてんこ盛りで今後の展開が楽しみです。





「平和の国の島崎へ」(連載中。2023年1月現在1巻まで発売)
幼少時に国際テロ組織に拉致され戦闘工作員となった島崎。30年かけて組織から脱出し故郷である日本に戻ってきたが…戦闘のプロが日常に馴染もうとするところは「ファブル」に近いですが、ファブルは意外とほのぼの?しているところがあるのに比べ、こちらは淡々としつつじんわり不穏な展開が示唆されていて目が離せません。




「ホテル・メッツァペウラへようこそ」(連載中。2023年1月現在2巻まで発売)
老紳士たちの営むフィンランドの小さなホテル「メッツァペウラ」に、吹雪の中迷い込んだ日本人のジュン。背中に入れ墨のある訳ありのジュンを私ホテルマンとして雇い入れるが……私、この作者さんの描く年配男性がすっごく好きなんですよ…イケオジ…というかイケジジイ…?というか…年配の方だけでなく登場人物みんなの表情がとても魅力的ですし、それぞれに過去があってその中でジュンも成長していく…心温まるヒューマンドラマです。




「泣きたい夜の甘味処」(2022年1月発売)
疲れた人の元に現れるクマと鮭が営む甘味処。「ふんふん、これは泣けるやつでしょう?わかっていますよ…」と斜めに構えながら読んだのに号泣しましたね…心に染みる甘さ…誰にでもある泣きたくなる夜に寄り添ってくれる定期的に読み直したくなる一冊。2作目の「疲れた人に夜食を届ける出前店」はレシピが多めなのでストーリーを楽しみたい方は1作目がオススメです。




「特別じゃない日」(2023年1月現在2巻まで発売)
老夫婦、女子高生、主婦…ふとしたきっかけで繋がっていく小さな町の物語。何でもない日、特別じゃない日が繋がっていく幸せってありますよね…最近、大切な人たちと過ごせる「普通」の日々がいかに幸せで有難いんだろう…としみじみ思うので本当に心に沁みました。2巻というか続編「特別じゃない日 猫とご近所さん」もオススメです。




「つかれたときに読む海外旅日記」(2023年1月現在3巻まで発売)
作者さんが甚平姿で海外を旅してまわって出会った人々との素敵なエピソードが満載。海外の人たちの自分の国や自分の家族、生活を大切に誇りに思っている姿や、日本に対しての好意など本当にほっこりして幸せな気持ちになるので何度も読み返してしまう…危ない目にあったり嫌なこともあったりするとは思うんですが、ほっこりエピソードを抜き出して描いてくれているんだろうな…と思いつつ、気をつけて楽しく長く描き続けてほしいな…と思っています。



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【和風】


「あおのたつき」(連載中。2023年1月現在7巻まで発売)
江戸最大の遊郭、新吉原。情念の渦巻く花街の売れっ子遊女、あおは気づくと見知らぬ神社に迷い込んでいた…花街を舞台にした物の怪退治噺です。浮世絵テイストのしっかりした画力と、当時の風習や文化が丁寧に描かれていて興味深いし勉強にもなります。鎮守様(狐)が犬っぽくてかわいい…根っこにメインのストーリーはありますがそれぞれの遊女や物の怪、一つ一つの短編が連なっている感じなのも良いです。「モノノ怪」が好きな人にオススメ。




「うちの小さな女中さん」(連載中。2023年1月現在3巻まで発売)
昭和初期。14歳の少女、ハナが翻訳家の令子の女中として働く物語。劇的な展開などはないのですが、その時代に女中として真っ直ぐに働き、生きている姿が良いですね…時代背景がしっかりと描かれているので当時の文化を垣間見れるのも楽しい…令子さんと過ごすうちにハナちゃんの表情が増えていくのも良い…クリームソーダを初めて飲んだハナちゃんとかとても可愛いです…



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【恋愛】


正反対な君と僕(連載中。2023年1月現在2巻まで発売)
元気いっぱいだけど周りの目を気にしてしまう鈴木は、物静かだけど自分の意見をしっかり持つ谷くんに片思い中。ついダル絡みをしてしまうが…恋愛ものはそんなに読まないですが鈴木さんが…谷くんが可愛くて…ベタといえばベタなんですが…なんだろう、キャラがみんな好き…メインである二人以外もしっかりそれぞれに考えを持っているのもいいですね…


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有名すぎるのと、もう何十巻もでてるので紹介するのもあれだけど毎回新刊が楽しみすぎる皆さん
(まだまだあるけどキリがないのでこれだけ…)

ウィッチ・ウォッチ」(彼方のアストラも大好きですがこっちも大好き)
吸血鬼すぐ死ぬ」(あのテンションのギャグを描き続けるすごさ…推しはドラウスとノースディンです)
あかね噺」(落語を更に魅力的に見せる抜群のうまさ)
黄泉のツガイ」(荒川先生の真骨頂。アルスラーンも連載中ですよね…?筆が速すぎて最早怖い)
女の園の星」(皆が待ち望んだ3巻ようやく出ましたね…!当然のようにアニメ付き特装版を買いました。最高かな…?)


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以上「2022年に読んで印象に残った本(コミック編)」でした。皆様の読書生活に少しでもお役に立てれば幸いでございます。今年もコミックいっぱい読むぞ~!「このコミックも面白いよ!」などオススメの本がありましたらコチラなどからお気軽に教えて頂けますと嬉しい限りでございます。皆様、良い読書生活を!


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2022年の3冊をえらんでみよう(小説編)

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2022年は120冊の小説を読みました。目標が月10冊、年間120冊なのでギリギリ達成という感じですね…2022年の私の読書事件(?)としては…衝撃的だったのは大好きな伊坂幸太郎の「マリアビートル」がハリウッドで映画化されたこと(清々しいくらいハリウッドでした…あすこまでぶっ飛んでいれば文句はないです…)と、寺地はるなさんの作品と出会えたことです。

基本的に新刊はあまり読まないので、なるべく近年の本を選びましたが2022年に発売になった本ではなく、2022年に私が読んで印象に残った3冊です。

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「箱庭の巡礼者たち」恒川光太郎



【あらすじ】
洪水の後、流れ着いた箱を見つけた少年はその箱の中に異世界が広がっていることに気づく。そこには人々が暮らしており、独自の文化、世界があり、箱の中だけの時間が流れている。クラスメイトの絵影にだけその事を教えた少年は二人で箱庭世界を観察し続けるが…

【感想】
元々恒川光太郎さんが好きで一通りは読んでいるのですが、なかなか筆が速くて…読むのに追いついてないのも数作あり、これから読めると思うと嬉しい限りです…!普段の少し物悲しさのある不思議感もありつつ、いつもと少し違うテイストも感じられます。

あらすじに付け加えると、絵影は箱庭の「観察者の視点で見ているからこそわかる事件」を捨て置けず、かつ自身は現実世界で家族に虐待されているのもあり箱庭世界に降りる事を決意します。そこから物語が動き出します。

短編6編、断章5編からなる連作短編集ですが、独立した短編としても成立していて断章である「物語の断片」で全ての世界が繋がっていることがわかる造りです。1章を読み始めた時には想像もできないほど物語がふくらんで、繋がって、読み終えた時には1冊の本で様々な世界を旅したような、読書ならではの楽しさがありました。一大幻想奇譚と呼ぶにふさわしい作品です。

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「ガラスの海を渡る舟」寺地はるな


【あらすじ】
幼い頃から落ち着きがなく、コミュニケーションが苦手で他人の気持ちに共感したり「みんなとおなじ」ができない兄、道。一方で何事でもそつなくこなすが、それゆえに突出した「なにか」がなく自分の個性を見つけられない妹、羽衣子。

正反対の性格からか互いに苦手意識を持つ二人は、祖父の死をきっかけに兄妹でガラス工房を引き継ぐことになるが衝突が絶えない。そんな中「ガラスの骨壺が欲しい」という変わった依頼が入り…

【感想】
冒頭でも書いた通り、寺地はるなさんは人気作家さんですがタイミングが合わなかったのか今まで読んだ事がなかったのです。この「ガラスの海~」で大変気に入って2022年だけで寺地さんの本を10作読んでいます。まだまだ読んでない作品があるので楽しみです…!

寺地さんの作品は家族の物語が多い印象ですが、その中でも「不器用」だけの一言では片づけられない、なんというか生きるのが上手じゃない人、そしてその周りの人たちを描くのがとてもうまい作家さんだなぁと思います。周りに合わせない(合わせられない)からこそある真っ直ぐさは、そうでない側、それに振り回される側からすると羨ましくも、妬ましくもあるというか…家族だからこそわかってほしいけど、家族だからこそ分かり合えない、みたいな。

強固である、あってほしいと思う家族の絆も、実際はガラス細工のようにちょっとしたはずみで壊れてしまったり、それでいて落としても割れない丈夫さがあったり…人間関係の脆さとガラス製品がリンクしている感じも素敵だと思います。実直で丁寧な文章だからか、負の感情を書いていても辛さはあれどじんわりと心にしみるというか…違うからこそぶつかるけど、理解し認め合う事もできる。とても読みやすく優しい気持ちになります。


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「宙ごはん」 町田そのこ



【あらすじ】
宙には育ててくれている「ママ」と産んでくれた「お母さん」がいる。厳しくも愛情いっぱいで育ててくれるママ「風海」と、美しくイラストレーターとして活躍するお母さん「花野」。お母さんが二人もいる宙は「さいこーにしあわせ」だった。

しかし宙が小学校に上がる時、夫の海外赴任で同行する風海の元をを離れ花野と暮らすことになる。待っていたのはごはんも作らず、世話もせず、授業参観日には恋人とのデートを優先する花野との日々だった。そんな生活に手を差し伸べてくれたのは花野の中学時代の後輩で商店街のビストロで働く佐伯だった。

【感想】
去年も選んだのにまた町田さんの作品を選んでしまった…だって好きだから…デビュー作の「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」で一目惚れ(一読み惚れ?)して以来、ずっと追っている作家さんです。

簡単に言うと、産みの母の花野(カノさん)の妹、風海が「ママ(育ての親)」として育てていました。妹としてカノさんの奔放っぷりをわかっていたので「育てられるわけがない」と宙を引き取ったのです。宙から見ると叔母ですね。ただ二人の母以上に佐伯、こと、やっちゃんの存在感がすごいです。読んだ人にはわかってもらえると思う…やっちゃんの…懐の深さというか…この…(ネタバレになるので地団太を踏むしかない)

主人公・宙にとって忘れられない食べ物と共に描かれる物語。宙の成長に伴って視座が変わることで、見えなかった周りの大人の色々なことが見えるように、わかるようになる事。そしてそれによって諦める事、楽になる事が丁寧に描かれていて、その成長が頼もしいというか辛いというか…ただ宙が成長していく中で大人たちも成長し変わっていきます。カノさんとやっちゃん、カノさんと風海などの関係性も変わっていきます。

読んで思ったのは「母親に向いていない」と言い切るカノさんの代わりに面倒を見てくれる人がいて良かったね、と単純に言い切れないな…と。たまに登場するこどもたちの方が大人よりよほど大人っぽい時あるんですよね…大人にならざるを得なかったというか…前半と後半でかなり印象が変わりますし、やはり町田さんの作品なので読み進めるにしたがってちょっとしんどくなります。ほのぼのお料理小説、とかではないのでお気を付けください…ただ、とても面白いですし、読後は前向きになれます。



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~次点~

「あれは子どものための歌」明神しじま


【感想】
あらゆる傷を消し去る医者の秘密とは…?(「対岸の火事」)美声と引き換えに「どんな賭けにも負ける事のない力」を得た少女の運命は…(「あれは子どものための歌」)など、全5編が収録された連作短編集。久しぶりにしっかりしたファンタジーミステリを読んだなぁ~という嬉しさがありました。登場するキャラの視点によって5つの物語の色味が変わる様に思います。これがデビュー作なようなので次が楽しみです。


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「栞と嘘の季節」米澤穂信



【感想】
高校の図書委員を務める堀川と松倉。ある放課後、図書室の返却本に押し花の栞が挟まっていることに気づく。その小さくも可愛らしい花は猛毒のトリカブトだった…前作「本と鍵の季節」がとても好きだったので続編嬉しい…!前作が短編集だったのに対しこちらは長編です。淡々とした空気感、シニカルな視点。全員がそれぞれに理由があってそれぞれに小さな嘘をついている。この作品から読んでも楽しめますが、前作のその後について少し触れているので読んでいた方が楽しめます。


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「繭の季節が始まる」福田和代



【感想】
コロナ以降、新型の感染症が不定期に出現するようになり「繭」と呼ばれる強制的な巣ごもり期間が設けられるようになった近未来の日本の物語。すっかり自宅待機生活に順応した世界でも仕事として外出しなければならない人もおり、それが主人公である警察官のアキオです。

人々が家にこもっているはずの町で見つかる不可思議な死体や、全自動ビスケット工場への侵入事件。アキオは人気のない町を相棒の猫型警察ロボット「咲良」と共に駆け回って解決にあたります。文章が優しいのでほんわかしていますが、物語がコロナのその後が舞台なので、どうしても今の状況と照らし合わせて妙に色々考えてしまいますねぇ…「シェルター」などではなく「繭」と表現するのも絶妙。

ほぼ人のいない町に一人。繭に入れないからこそ繭に入れる人、繭の中が温かそうと思うアキオの気持ちなどが無理なく想像できる、今だからこそ余計に刺さる作品ではないでしょうか。相棒の警察ロボットが犬ではなく猫なのが、相方によってAI、人格(猫格?)が代わる気まぐれさと合っていて良いです。



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以上が2022年に読んで印象に残った本でした。皆様の読書生活に少しでもお役に立てれば幸いでございます。今年も面白い本に出会えるといいなぁ~

ちなみに読了本は全て「ブクログ」に記録してあるので興味のある方はどうぞ~(感想は書いていません)また、「この本も面白いよ!」などオススメの本がありましたらコチラなどからお気軽に教えて頂けますと嬉しい限りでございます。皆様、良い読書生活を!


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2023年01月01日

明けましておめでとうございます!

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明けましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。今年も健康第一!でまったり楽しく過ごしていきたいものです~どうぞ宜しくお願い致します。

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